創建はかなり古く、室町時代にさかのぼる。松前藩祖、武田信広公が1454年、ここに調査に来た時にアイヌが山を崇拝しているのに気がついた。「なぜ山に礼拝しているんだ」と聞くと、「オホタカムイという神様が山にいて、航海、災厄から我々を守ってくれているのだ」。これを聞き、公は太田山大権現という尊号をおくり、山の断崖の洞窟に祀った。おかげで後の参拝者は命がけで洞窟に登らなければいけなくなった・・・。
天才仏師、円空もこの山を訪れ、たくさんの仏像を残している。ふもとの拝殿にはそのレプリカが納められている。北海道でも屈指の霊場である。
本殿への参道(登山道)とは少し離れた拝殿。ここに参拝するだけなら平和でいいのだが、そうもいかない。
あれが目指す神社の本殿がある断崖である。
左上に小さく見えるのが入り口。鳥居の後ろは断崖に見えるが、参道である。
拝殿近くのお堂に設置されている円空仏。円空本人の作ではないが、
万が一転落死しても極楽浄土に行けるようにお祈りしておく。
いよいよ参拝(登山)。神社に参拝するだけなのにこんなに気合いを入れるのも初めてだが。
車が一台止まっていたが、釣り人だった。そりゃあ好きこのんでこんな所に参拝する人はいない。
写真を見ても階段の傾斜がおかしい。
ものすごい傾斜の階段。手すりかロープがなかったら登れない。階段が終わると普通に登山道・・ しかもロープにつかまりながら。
ロープだけじゃなくはしごまで!どんな参道だ!あたりは熊やマムシの生息地だと言うことで、熊よけの鈴は必須。
最初の階段だけでくじけそうになったが、引き返すわけにはいかない。
すでにへとへとの参拝者を優しく見守る仏様。花が供えられているのを見ると、この辺までは結構人が来るようだ。
わかってます。
カップ酒がお供え。やっぱりここまでは人は来るようだ。
しかし本番はここから・・まだまだ参道は続くのであった・・・
本殿にたどり着くにはさらにけわしい参道を登っていかなければならない。
ここでの「落石注意」は、文字通り本当に注意しないと死ぬ。
途中の道には神様の名前を書いた御幣がたくさん立っていて、ここが修験の霊場であることを
感じさせる。
こええーーっ!!ヒモだけで支えられた落ちかけの巨大岩!
もうひと思いに落としてあげて・・・・・
ついにたどり着いた・・・本殿への鳥居・・・この時点で体力は底をついているのだが、
最後の難関が待ち受ける・・
鳥居をくぐるとやたら厳重に張られたロープが・・・
そしてその足場の先には・・・これが、この神社のハイライト、北尋坊の断崖だ!
あの鉄のわっかのはしごが最後の参道だ。
下から見ると・・・思ったより高い。しかも普通のはしごでなくてぶらんぶらん揺れている。
意を決して足をかけてみたところ・・・ダメだ!怖すぎる!ほんとに足がすくむ!
体力が消耗しているのもあり、高所恐怖症ではないはずなのに登ろうとすると転落するビジョンが見える。
ここまで来て引き返せるかという思いと、本当に落ちるリスクを天秤にかけて葛藤中。
10分ほど休憩し、体力も戻ってきたので意を決して鉄の輪に手をかける!
足を輪に確実にかけ、急がず、慌てず、下を見ず。一歩一歩登っていく。
本殿が見えてきた!気持ちに余裕が出てきたため調子に乗って登りがけでこんなことも。
もちろん落ちないように手足はしっかり輪に通して。
あとちょっと〜
ついに本殿にたどり着いた−!感無量!無事に登れたことをまず神様に感謝。
崖のすぐそばに佇む本殿は歴史ある風貌だが、コンクリートブロックとかどうやって持ってきたんだよ・・・
賽銭箱をのぞいてみた。結構入ってるなあ。錆びてる硬貨もあったので、回収はされてないのかなあ。
お供えのお酒が置いてあった。ここまで持って参拝に来たのか。すごい根性。さすがに一升瓶ではないが。製造年月日を見ると08年6月。
本殿からの眺めは絶景!しかし無事登れたという安堵感の方が強いという。登ってきた道を改めて見る。本当に落ちたら死ねる。
またここを下るのか・・・そう考えてなんか疲れが。
遙か向こうに奥尻島が見えた。
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せたな町の大成地区の外れに。ここより北は道がないので、本当に外れ。
武田さんよくこんな所に作ったなあ。